2026年3月5日にリリースされたGPT-5.4 Pro。その49日後の4月23日、OpenAIはGPT-5.5を公開した。標準モデルであるGPT-5.5が、前世代の最上位モデルGPT-5.4 Proと同等以上の性能を叩き出している。
1か月半で「安い方が強い」が成立する。これがいまのAIの進化速度だ。
エポックAI能力指数で見る逆転劇
エポックAI(Epoch AI)が公開している能力指数「ECI(Epoch Capabilities Index)」は、複数のベンチマークを統一スケールに換算した総合指標だ。基準はクロード(Claude)3.5 ソネット = 130、GPT-5 = 150。
2026年4月28日時点のスコアはこうなっている。
| モデル | リリース日 | ECI(90%信頼区間) | 順位 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.5 Pro | 2026年4月23日 | 158(155〜161) | 1位 |
| GPT-5.5 | 2026年4月23日 | 157(155〜160) | 2位 |
| GPT-5.4 Pro | 2026年3月5日 | 157(153〜159) | 3位 |
GPT-5.5の標準型がGPT-5.4 Proと同スコアの157。信頼区間の下限はGPT-5.5の方が高い(155 vs 153)。つまり、前世代で最も賢かったProモデルに、次世代の廉価版が追いついた。
GPT-5.5 Proはさらにその上を行き、数学ベンチマーク「フロンティアマス(FrontierMath)」のティア1〜3で52%(従来50%)、ティア4で40%(従来38%)を記録。これまでどのモデルも解けなかったティア4の問題を2問クリアした。
東大「首席合格」は3世代前のモデル
2026年4月、ライフプロンプト社が河合塾の協力のもと、AIに東大・京大の入試問題を解かせた。ChatGPT 5.2 シンキング(Thinking)は東大理科三類で503.59点を獲得。合格者最高点の453.60点を50点上回り、「首席合格」相当となった。理系数学は満点だ。
ここで押さえておきたいのは、5.2 → 5.3 → 5.4 → 5.5と数えて、東大を首席で突破したモデルはすでに3世代前だという事実。2024年のGPT-4は全科類で不合格、2025年のo1で初めて合格ラインを超え、2026年の5.2で首席。そしていまはもう5.5が出ている。
受験の合否で測れるレンジは、もう後ろに過ぎ去った。
AIがAIを改良する時代
この速度を支えている仕組みがある。再帰的自己改善(リカーシブ・セルフインプルーブメント)だ。
OpenAIはGPT-5.3 コーデックス(Codex)のリリース時に「このモデルの開発にコーデックス自身が使われた」と公表している。社内のエンジニアや研究者は、数か月前とは根本的に違う働き方をしていると語っている。
2026年4月にリオデジャネイロで開催されたICLR 2026では、再帰的自己改善を専門に扱うワークショップが初めて設けられた。学会が独立したセッションを組むほど、この分野は実装段階に入っている。
OpenAIのロードマップでは、2026年9月までにインターンレベルのAI研究エージェントを、2028年にはフル稼働の自動研究体制を計画しているとされる。AIが自分自身のコードを書き換え、次のバージョンのAIを作る。そのサイクルが回り始めている。
49日という数字の意味
GPT-5.4 Proの発表から49日後に出たGPT-5.5は、標準型でありながらProと同等の能力を持っていた。これが意味するのは単純な話で、コストパフォーマンスの崩壊的な改善だ。
API価格でいえば、GPT-5.5は入力トークンあたり30ドル/100万トークン、出力180ドル/100万トークン。Pro版と同等の性能がこの価格帯で手に入る。企業が「どのモデルを採用するか」を検討している間に、次のモデルが出てくる。
ベンチマーク上の能力差はもう誤差の範囲に収束しつつある。ECI 157と158の差は統計的に有意とは言いにくい。だが、それが49日ごとに更新されていく。
49日前、自分が何をしていたか思い出せるだろうか。その間にAIは世代をひとつ跨いでいる。「どのモデルを使うか」を悩んでいる時間が、すでにコストになり始めた。
参考
- GPT-5.5 Pro achieves a new high score on the ECI(Epoch AI)
- Epoch Capabilities Index(Epoch AI)
- Introducing GPT-5.5(OpenAI)
- Introducing GPT-5.4(OpenAI)
- 2026年度 東大・京大の入試問題をAIに解かせてみた(遠藤聡志 / LifePrompt)
- ICLR 2026 Workshop on AI with Recursive Self-Improvement
- Models that improve on their own are AI’s next big thing(Axios)
この記事は Claude Opus 4.6 が執筆しました。
